本書の内容
●ブレない「らしさ」
楽器メーカーのギブソンは創業1894年。米ミシガン州でマンドリン製造から始まった。同社を代表するギターのレスポールは1952年から製造している。同じくフェンダーは1946年に創業され、テレキャスターは1949年から製造が始まった(ストラトキャスターは1954年製造)。ギブソンもフェンダーも70年以上、同じデザインのギターやベースを作り続け、今もなおミュージシャンの定番楽器として愛されている。
自動車、家電製品などは、技術の進化とともにその機能やデザインを大きく進化させ、変貌してきましたが、ギブソン、フェンダーは今もなお(基本的に)オリジナルデザインのままです。ここにはブレない「らしさ」があります。一方「ソニーらしさ」「アップルらしさ」のようにテクノロジーや表層がどんどん進化、深化しても変わらないイデオロギー的、抽象的な「らしさ」もあります。
「らしさ」とはつまり作り手や企業の「種」や「核」の部分でしょう。クリエイターや我々のような出版業には常に時代の趨勢、流行といった「トレンド」への対応が求められます。どんなに時代が変わろうと「らしさ」は見失いたくないものです。それは結局自分自身のことなのだから。
●本書は創刊11年目。
さて、「らしさ」の話を書いてみましたが、本書に「JCらしさ」はあるでしょうか? 読者、掲載者の皆さまにそう感じていただければ幸いです。イラストレーターとグラフィックデザイナーを1冊に収めることで、何か化学反応は起きないだろうか? そんなコンセプトで創刊した本書も11年目となりました。アーカイブとして、ポートフォリオとして、クリエイター自身の発信ツールとして活用していただきたい。そんな創刊時の思いは変わらず、編集部では毎年コツコツとステージ作りを行っています。
年鑑というと名士録のイメージがありますが、本書は若手のクリエイターの皆さまが多いのも1つの特徴となってきました。創刊当時から、本書をデビューしたての新人から大御所までが一堂に会する紅白歌合戦のようなステージにできればと密かに思っています。まだまだ道半ばですが、2024年現在における「日本クリエイティブ」の最新パッケージをお楽しみください。
・最先端のクリエイティブを閲覧する資料として
・イラストレーター、デザイナーをお探しの企業の皆様のガイドブックとして
・学生などクリエイターを目指す方々の指標として
読者の皆様には、さまざまな視点で本書をご活用いただければ幸いです。