本書は人類史上有数の影響力を持ったRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)を作った人物の物語である。
一九七四年、アメリカ合衆国ウィスコンシン州の小さな町の靴の修理屋が、一つのアイデアに行き当った。そのアイデアは世界の大衆文化を永遠に変えてしまうものだった。それがすなわちロールプレイング・ゲーム(RPG)。
靴の修理屋の名前はゲイリー・ガイギャックス、彼の作ったゲームは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)という。数年のうちにD&Dは世界中で流行した。だがそこへ次々と災難がふりかかる。
「D&Dには心理学上の危険がある」という恐ろしい告発。D&Dと悪魔崇拝を結びつける主張。金のかかる裁判沙汰。社内抗争。経営ミス。これらすべての結果、D&Dそれ自体はついに完全に世の中の主流となるには至らない。けれども、この見過ごされやすく、誤解されやすいゲームは、以前に思われていたよりも大きな影響を世界に及ぼしていたのだ……。
ダンジョン・マスター:君は海賊船の甲板に立っている。すでに打ち倒した数人の賊が君の足元に横たわっている。さあ、君はどうする?
プレイヤー(騎士アーゲイリー):死体をあさるよ。まず海賊船長から始める。
ダンジョン・マスター:君は甲板の端まで歩いてゆく。そこに海賊船長の死体がある。死体の持ち物をあさると、君の盗まれた持ち物がいくつか出てくる。中にはあの「啓示の鍵」もある……。
はじめに
著者ことわりがき 「物語かたり」の物語を語るにあたって
序章 記憶の街
レベル1
+1 中西部のいたずらっ子
+2 恐怖の夜
+3 チェックメイト
+4 竜はひそむ
+5 恐怖の墓所
+6 舵輪に人なし
+7 高校低徊記
レベル2
+8 現実の世界
+9 あちらを立てればこちらが立たず
+10 別の女?
+11 逃した魚は大きい
+12 日曜に公園でゲイリーと
レベル3
+13 ゲームプレイ
+14 運命の出会い
+15 T(タクティカル)・S(スタディーズ)・A(あんたがたどこさ)
+16 チェインメイル
レベル4
+17 創世記
+18 芸術の女神
+19 寝る時間
+20 出版のジレンマ
+21 芸術を生む技
レベル5
+22 勇士は還らず
+23 その場しのぎ
+24 カスク奮闘す
+25 RPGぞくぞく登場
+26 ゲイリー 闘う家長
+27 それはダンジョンズ&ドラゴンズに似ているがしかしアドヴァンスしている
レベル6
+28 楽園での苦難
+29 計り知れない喪失
+30 専制君主
+31 別離の道
+32 ショーほど素敵な商売はない
+33 クーデター
+34 トロイの木馬
レベル7
+35 新規まき直し
+36 危険な旅
レベル8
+37 ゲイリー、世間に認められる
+38 七十五年物
+39 ナードの大将
+40 旅路の果て
レベル9
+41 ゲイリーの遺産
+42 予想もつかぬ波及効果
+43 道はさらに続く
+44 わが命つきるとも
謝辞
付録A ゲイリー・ガイギャックス年表
付録Bゲイリー・ガイギャックスの生涯の仕事
参考資料および推奨文献目録
著者について